Ars cum natura ad salutem conspirat

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向井潤吉と四季 冬


師走を迎えて気忙しさが増す今日この頃です。気がつけば今年のカレンダーも残すところあと1枚。おかげさまで昨年、2013年の向井潤吉アトリエ館のオリジナルカレンダーは、年内で完売してしまいました。ただいま展示替え中につき、休館させていただいておりますが、今年はお早めにお買い求めいただければ幸いです。

さて、開館20周年を記念した日本の四季シリーズも、早いものでいよいよ最終章を迎えます。「春/夏」、「秋」と続き、来る12月14日(土)に開幕する「冬」展では、銀世界を描いた作品群が多く展示される予定です。


新雪、春雪、残雪……。さまざまな雪景色の中でも、本展のメインビジュアルである《凍日》(画像1)と《宿雪の峡》(画像2)はともに号数が大きく、観る者を眼前に広がる白銀の世界へと誘います。この大作2点には、雪の中を駆け回る犬の姿が共通して描きこまれ、寒々しい冬景色に温もりを添えています。


《凍日》は、戦前、向井が北海道の置戸(おけと)で国立伐採訓練を取材した際の体験に着想を得た作品です。「…樹木の新しい切り口は温かいらしく、早速に犬が飛び乗ってうずくまったのは、甚だ印象的でした」と後に向井は書き記しています。


西欧では「病んだ自然」として、モチーフに取り上げられることが少なかった雪景色。本展では、戦前に渡欧しルーヴルで摸写に励んだ向井が、戦後、「民家の画家」としてどのように日本各地の雪化粧をキャンバスに描いたのか―その変遷を辿ることのできる貴重な機会と言えるでしょう。


ちなみに、来年のオリジナルカレンダーでは、向井潤吉アトリエ館周辺の蛇崩川付近を描いた《新雪》(画像3)が1月の暦を飾っています。12月15日(日)に開催される世田谷名物・ボロ市とあわせて当館へお立ち寄りの際には、どうぞ来年のカレンダーのご購入もお忘れなく。


なお、年末年始は12月29日から1月3日までは休館致します。2013年から2014年へ―。「冬」展は年をまたいでの会期となりますが、皆様のご来館を心よりお待ちしております。


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