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カテゴリー:向井潤吉アトリエ館
朝晩は吐息も白くなり、冬至を前にして、ますます冷え込むようになって参りました。
向井館では落ち葉の季節、武蔵野の面影を残す庭も、鮮やかな色の落ち葉がくるくると舞い落ちて、風情があるとはいえ、朝にほうきで掃いても、夕方頃にはまたもと通り降りつもっている有様で、ちょっと大変な季節なのです。
朝晩は少し肌寒く、晴れた空の青も高く広がり、いよいよ秋が到来してきました。早いもので、今年もあと3カ月です。向井潤吉アトリエ館では毎年ご好評を頂いているオジリナルカレンダー2012年版の販売が始まりました。向井潤吉の珠玉の名作を集めた月めくりカレンダー、その全作品をご紹介します。
向井潤吉アトリエ館で受付に座っていると、お客さまからよく声がかかります。
「この絵、私の故郷なんですよ。」
そして故郷の町や村、描かれた山のことなど語るうちに、当時の記憶がよみがえるのか、気づいたら一代記になっていることも。その絵が絵葉書や額絵になっていると嬉しそうにお持ちになります。
私も展示中の桑原甲子雄の写真を見て同じような気持ちになりました。
幼少時近くにあった路地にそっくりの写真があったのです。それは世田谷区太子堂で撮影されたものでした。場所は違えど当時を思い出しました。
向井潤吉が描いた民家を見に行くのはたやすくないけれど、桑原甲子雄が昭和50年頃撮った路地は、今も世田谷に息づいています。お天気のいい夕方にぶらりと訪れてみようかなと思っています。
と同時に展示室に違和感も。
向井潤吉アトリエ館の庭に今年も暦通りお彼岸の時期に白い彼岸花が咲きました。
この彼岸花が咲き始めると、アトリエ館の木々も段々と彩づきはじめ、秋の気配を感じるようになります。
この時期になると、向井潤吉アトリエ館では毎年恒例のオジリナルカレンダーの販売が始まります。
今年、約1年間の休館を経て新たな気持ちで再開した向井潤吉アトリエ館。
再開を記念して、2011年のカレンダーは、向井潤吉の代表作12作品を集め、月ごとに季節を感じられる大変見応えのある仕上がりになっています。
向井潤吉アトリエ館のミュージアムショップで一番人気商品のカレンダー、ご贈答にも大変喜ばれています。
通信販売でもお求めいただけますので、秋の訪れとともに、新しい年を迎える準備に、向井潤吉アトリエ館オリジナルカレンダーはいかがでしょうか。
「私は毎日のように画室に掲げてある三枚の摸写の前に立って、じっと凝視(みつ)める習慣になった。すると当然のように、その模写につながる想い出が拡大したり、縮小したりして、私の若い日の苦渋と希望と緊張の織り交ぜた、パリの生活の片々を鋭くつき刺してなんとなく溜息が出るのである。」
向井潤吉「出戻る旧作」(昭和48年)より
「三枚の摸写」とは、現在展示中の《泉(アングルの摸写)》、《老人の頭(デューラーの摸写)》、《ばらの花を持つ女(ルノワールの摸写)》です。
ただいま向井潤吉アトリエ館では、「向井潤吉とルーブル美術館 その滞欧作の魅力」展を開催しています。この三点の他に《聖家族(ルイー二の摸写)》、《裁縫する若き女(ミレーの摸写)》も所蔵展示していますが、今回は特別に個人蔵の《エレーヌ・フールマンとその二児(ルーベンスの摸写)》も展示されています。
昭和2年から4年間にわたり、向井はルーブル美術館で21点もの摸写を熱心に描きました。画材や技法を探求するその仕事ぶりは、当時の日記帳(こちらも展示中)からうかがうことができます。帰国後に東京の丸善で摸写を集めた作品展を開きましたが、当時売れたのはルイーニの《聖家族》だけでした。それも「一面識のない通りすがりの基督教者」だったとエッセイに書き残しています。その後作品たちはさまざまな所蔵家の手にわたり散っていきます。
このルイー二は縁あって手元に戻ったにもかかわらず、アトリエの不審火によってティントレットやグレコの模写作品とともに焼けてしまいました。幸い焼け残りましたが、画面にはかなりの痛みがあります。やがて、手放した作品たちがポツポツと画商や画廊によって持ち込まれはじめ、向井の手元に返ってくるようになります。
チャンスがあれば摸写作品を引き取り、手元に残した向井ですが、とりわけルーベンスの作品には思い入れがあったようです。昭和47年の暮れに関西の画商から情報がもたらされとき、早速入手しようと連絡を取りました。ところがすでに人手に渡ってしまい、ひどく落胆したといいます。
今回はそのルーベンスの摸写が見られます。存在が確認されている摸写作品のなかでは最も大きく、《画家のアトリエ(部分)(クールベの摸写)》に並ぶ大きさです。原作と同じマホガニーの板が買えず、「五十号の枠にベニヤ板を接着剤で貼りつけて、その四方を隙間なく蓄音器の古針で打ち込んで地塗りを施し」たという、愛着の深い作品だったのです。
《遅れる春の丘より》をはじめ、民家の代表作も展示しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。ご来館をお待ちしております。
向井潤吉アトリエ館では、7月31日から第2期収蔵品展「向井潤吉とルーブル美術館」を開催しています。
この展覧会では、若いころの向井潤吉が、パリで画家としての勉強を重ねる中で心血を傾けて制作した、ルーブル美術館の摸写作品を中心に展示しています。向井潤吉の青年時代の修練の成果が、「民家」を題材にした作品にいかに反映したのかを探る展覧会です。おなじみの「民家」の代表作と共にお楽しみ下さい。
また、特別展示としてルーベンスの「エレーヌ・フルーマンとその二児」を摸写した50号の大作も出品しています。
向井潤吉が生前暮らしていたアトリエ館には、向井潤吉とそのご家族が愛用されていた調度品が残っていて、今も館内に彩りを与えています。
たとえば写真のお座布団。
館内の椅子や和室には、向井夫人が愛用していた木綿のお着物や、収集していた古布を仕立て直した、かわいらしい座布団がおいてあります。
また、展示室の壁には最後の江戸凧師と言われる橋本禎造(ていぞう)作の干支凧が展示されています(写真)。
向井潤吉は日本橋の「たいめいけん」の創業者で「凧の博物館」を創設した茂出木心護さんと交流があり、その葬儀委員長もつとめました。「凧の博物館」は「たいめいけん」の5階にあり、橋本禎造作の江戸凧を始め、日本全国から集められた凧約3000点が展示されています。
暑い日が続きますが、武蔵野の風情漂う古木に囲まれたアトリエ館に配されたお座布団に腰かけ、ひとときの涼を取ってみてはいかがでしょうか。
向井潤吉アトリエ館は耐震化工事のため昨年3月より休館しておりましたが、本年3月に工事も完了し、内装もいくぶん新しくなり、4月27日より再開いたしました。
当館のスタッフは徐々に高まる期待と緊張、少しの不安のなか、再開までの日々を準備についやしてきました。
館内の清掃はいきとどいているか、車椅子は楽に使うことができるか、向井館グッズは用意万端か、向井先生ご愛用の調度品をどのように並べるか、館内の暖簾やお座布団はきちんとした場所におさまっているか、などなど、お客様にまた気持ちよく来館して、向井館を楽しんでいただくために、スタッフミーティングを重ね、あらゆる準備を再開にむけて活発におこなってきました。
向井潤吉アトリエ館は、耐震補強工事のため休館しておりますが、
4月27日(火)の再開に向けてただいま準備中です。
耐震工事は、床にコンクリートを流したり、壁を剥がして補強のための筋交いを入れたり、という大仕事です。先日、現場を見学に行ってみたところ、床板がすべて剥がされて、底面のコンクリーがのぞくところを、一枚一枚番号を振って剥がされた床板をパズルのように組み合わせていたところでした。手間のかかる仕事を職人さんたちが毎日進めてくださっています。
工事が完了すれば、ほんのわずか内装も新しくなります。アトリエ館スタッフも期待に胸を膨らませつつ、新たな気持ちで皆さまのご来館を心よりお待ちしております。
ただいま本館2階アートライブラリーの前の小さなスペースで、新収蔵した向井潤吉作品の小品を展示しています。こちらは無料でご覧いただけますので、どうぞお立ち寄りください。