ミュージアム コレクション
ミュージアム コレクションⅠ 武蔵野・再考―写真家たちの武蔵野と向井潤吉の写真
古くより“武蔵野”と呼ばれた一帯に位置する世田谷。そこにはかつて雑木林が広がり、大きな農家が点在する、のどかな風景を思い浮かべるのではないでしょうか。私鉄の延伸により、次第に現在のように宅地化された賑わいのある町へと変貌します。 武蔵野の範囲は諸説ありますが、荒川と多摩川と入間川に囲まれた大地部分を指します。のどかな自然としてノスタルジックに語られがちな“武蔵野の林”は、実は「近世の作」で、「薪の材料」を確保するために江戸時代に植生されて出来上がったものであったことはあまり知られていません。 島田謹介(1900-1994)・師岡宏次(1914-1991)・田沼武能(1929-2022)は、武蔵野の風景をカメラに収め、それぞれが“武蔵野”をテーマとした写真集を発表しました。 飽くことなく民家のある風景を描き続けた向井潤吉(1901-1995)は、誰に見せることもなく、90冊を越える民家の写真のアルバムとそのネガ・ファイルを40冊近く作成していました。そのなかには、“武蔵野”で撮影された写真が数多く含まれています。 本展では、武蔵野をモチーフとしたこれらの写真を通してその創作に込められた作者の思い、そして近現代における“武蔵野”の意味を今一度再考いたします。向井の写真に関しては、写真家・金村修(1964- )の眼で選ばれたネガフィルムをあらたにプリントし、金村修による現代の武蔵野もあわせてご紹介いたします。【コーナー展示 倉俣史朗の家具】2023年に開催した「倉俣史朗のデザインーー記憶のなかの小宇宙」展を機に受贈した、倉俣史朗〈引出しの家具〉と《ランプ(オバQ)》をご紹介します。