Ars cum natura ad salutem conspirat

ラウル・ラルシュ《シャンデリア》1900年頃 © Musée d'Orsay, Dist RMN - © Patrice Schmidt / distributed by DNPartcom

オルセー美術館展

パリのアール・ヌーヴォー

2009年9月12日~11月29日 1階展示室


開催概要

華麗なパリのライフ・スタイルをオルセーの名品によって紹介

「アール・ヌーヴォー」は19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパを中心に一世を風靡した装飾様式です。近代的な大量生産方式が主流となっていく時代に、生活の美を見つめなおし、装飾や工芸を芸術の域まで高めました。主に、建築や工芸にあらわれ、流れるような曲線が織りなす優美なデザインは、今でも多くの人々を魅了してやみません。
アール・ヌーヴォーが花開いた1900年に、パリ万国博覧会の開催に合わせて完成したオルセー駅。この駅舎を改築し、19世紀美術の殿堂として今日公開されているのがオルセー美術館です。本展は、同館の誇るアール・ヌーヴォー・コレクションから、エミール・ガレ、ルネ・ラリック、エクトル・ギマールなど巨匠たちの名品を中心に、選りすぐりの約150点をまとめて紹介する、国内初の展覧会となります。本展では、お客様をお迎えするサロンに始まり、ダイニング・ルーム、書斎、貴婦人の部屋とつづく各コーナーに、当時ヨーロッパの最高水準に達していたというパリの工芸技術によって制作された、豪奢な工芸、家具、装飾品などが展示されます。お客様には、あたかもパリの豪華な邸宅に招かれたかのような体験をしていただくとともに、印象派絵画だけにとどまらない、オルセー・コレクションの奥深さとその新たな魅力をご堪能いただけることでしょう。



基本情報

会期:2009年9月12日(土)~11月29日(日)
休館日:月曜日[ただし9月15日-27日は無休]
開館時間:午前10時~午後6時(入場は閉館の30分前まで)
会場:世田谷美術館 1階展示室
観覧料:一般1,300(1,100/1,000)円、大高生/65歳以上1,100(900/800)円、中小生600(500/400)円 
( )内は前売り/20名以上の団体料金
チケット販売所:当館ミュージアムショップ、電子チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス、サークルK・サンクス、ファミリーマート 他
前売券は6月30日(火)〜9月11日(金)に販売。9月12日以降は当日料金にて販売。
障害者のある方は、受付での手帳ご提示で以下の観覧料となります。障害者(一般、65歳以上)当日600円(20名以上の団体400円)、障害者(小・中・高・大学生)無料、介助の方 障害のある方1名につき1名 無料
主催:世田谷美術館、オルセー美術館、読売新聞社
後援:外務省、フランス大使館、TOKYO FM
協賛:大日本印刷
協力:エールフランス航空、日本航空


関連リンク

展覧会公式HP


「オルセー美術館展」直行バス運行
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展示構成

サロン

邸宅の扉がひらかれ、玄関ホールをぬけて、まずお客様を迎え入れるのがサロンです。このコーナーではふたつの優美なフロア・スタンドがお客様を迎えます。ともに日本美術の影響の濃いジャポニスムの作品であり、どちらも水辺の植物をモチーフとし、その葉陰にトンボやかたつむり、カミキリムシなど今にも動き出しそうな生きものたちが潜んでいます。《フロア・スタンド 葦と蜻蛉の装飾》は、同じモデルを女優サラ・ベルナールが所有していたことが知られているもの。サロンは、食後に、シガレット、お酒、コーヒー、そしてゲームを楽しむ空間でもありました。エミール・ガレの《ゲーム・テーブル》は、天板が観音開きになるもので、両面に植物文が寄木象嵌によって描き出されています。


作者不詳《フロア・スタンド 葦と蜻蛉の装飾》1900年頃 © Musée d'Orsay, Dist RMN - © Patrice Schmidt / distributed by DNPartcom


ダイニング・ルーム

ダイニング・ルームは、社交の場として大変重要であり、邸宅の中のパブリック・スペースとして大きな空間を占めるものでした。堂々としたダイニング・セット、シャンデリア、暖炉、そして壁面はパネル形式の絵画で装飾されることもあったようです。本展でもこのダイニング・ルームが最初のメイン・コーナーとなります。その中心となるダイニング・セットは、食器台、食卓、2 脚の肘掛け椅子と5脚の椅子、そして花を飾るための2台の小家具からなっており、アール・ヌーヴォー博ともいわれた1900年のパリ万国博覧会に出品され、当時「非の打ちどころがない」と高い評価をうけました。マホガニー材に優雅な植物装飾が見事です。食卓上部のシャンデリアは、金メッキされたブロンズのフェアリー像が大変豪華な逸品。アール・ヌーヴォーの彫刻家ラウル・ラルシュは、やはり1900年万博で金賞を受賞しています。そして、食卓を飾る数々の銀器。コーヒーポットやティー・セット、カトラリーの数々が展示されます。壁面のグラッセによる装飾パネルでは神話の女性たちが、優美な音楽を奏でています。


ポール・フォロ、クリストフル社《ティー・セット》1903年頃のモデル © RMN (Musée d'Orsay) / Droits réservés /distributed by DNPartcom

ウジェーヌ・グラッセ、フェリックス・ゴダン《ハーモニー》1893年 © RMN (Musée d'Orsay) / Michèle Bellot / distributed by DNPartcom


書斎

サロン、ダイニング・ルームが表向きの公的空間であるのに対して、書斎はあくまでも屋敷の主人の個人的な空間であり、その個性が一層色濃く反映される空間といえるでしょう。このコーナーでは、オルセーが自館のアール・ヌーヴォー・コレクションを代表するもののひとつとする、ルイ・マジョレルのテーブル・ランプと書斎机を展示。マジョレルは、ガレと並びナンシー派と呼ばれ、アール・ヌーヴォーを代表するデザイナーです。ナンシー派は、日本との関係も深く、この地に植物学を学ぶため滞在した高島北海が彼らの自然主義に大きく影響を与えたことはよく知られています。一輪の睡蓮をモチーフとするテーブル・ランプは、完全な形で残る大変貴重な1点。その他、女性と睡蓮のつぼみが可愛らしいインク壺、小皿、花瓶などデスクの周りに置かれるもの、そして、当時邸宅の装飾として大変流行した版画などをご紹介します。


ルイ・マジョレル 《書斎机 “蘭”》1903-1905年頃のモデル © RMN (Musée d'Orsay) / Jean Schormans /distributed by DNPartcom


エクトル・ギマール

パリのアール・ヌーヴォーといえば、誰しも、メトロの入り口を思い浮かべます。1900年パリ万博にあわせて地下鉄を開通させるべく、このデザインを創出したのがエクトル・ギマールでした。ギマールは、パリのアール・ヌーヴォーを象徴する建築家といえるでしょう。彼は、建築家であると同時に優れたインテリア・デザイナーでもありました。このコーナーでは、ギマールのデザインによる家具などをご紹介します。新時代の照明として華々しく登場した電気照明を、ギマールも取り入れており、独特の曲線文様を巧みに取り入れた電灯をそのデッサンと共に展示します。また彼の代表作のひとつ、コワイヨ商会のためにデザインした肘掛け椅子を、これも大型のデザイン図とともに紹介します。


エクトル・ギマール《天井灯》1909-1911年頃のモデル
© RMN (Musée d'Orsay) / Droits réservés /distributed by DNPartcom


貴婦人の部屋

書斎が男性的な空間とすれば、女性の部屋はまったく異なる趣をもつものとなるでしょう。アール・ヌーヴォーの時期、デザインにおける女性的感性の重要性は非常に高まり、優美であること、繊細にして華麗であることが19世紀末から20世紀初頭のこの時代のデザインの基本原理であることは、言をまちません。本展のふたつめのメイン・コーナーとなるこのコーナーでは、親密な空間で貴婦人たちの世界をご紹介します。日本でもよく知られているルネ・ラリックの七宝の飾りピン、バスタールの螺鈿細工による扇子、またエミール・ガレによる典雅な植物模様寄木象嵌と5匹の蛙たちがどこかユーモラスな婦人用机など、新鮮なデザインと伝統的職人技術の豪華な出会いを堪能していただくことになるでしょう。加えて、ラリックの宝飾品のための、あるいはガレの家具のためのデッサン、グラッセの女性像素描なども展示します。


ルネ・ラリック《飾りピン “芥子”》1897年 © RMN (Musée d'Orsay) / René-Gabriel Ojéda /distributed by DNPartcom


サラ・ベルナール

この時代を象徴する人物として、もうひとりサラ・ベルナールをとりあげます。高級娼婦の家に生まれながらも、人を惹きつけてやまない個性的な美しさと果敢な演技力をもって、大女優となり、全ヨーロッパとアメリカで熱狂的にもてはやされ、時代の寵児であったサラ。文豪ヴィクトル・ユゴー、作家マルセル・プルーストをはじめ、当時の数多くの文化人たちをも魅了したサラ。サラ・ベルナールは、チェコの画家アルフォンス・ミュシャのポスターによって、知られていますが、アール・ヌーヴォーのデザイナーとしてミュシャの名声を確立させたのが、まさにサラの舞台であったといえるでしょう。このコーナーでは、ミュシャの代表的なポスターとともに、サラ・ベルナールのイニシャルのついたコート架けおよび自宅のためにデザインされたと推定されるデコラティヴな肘掛け椅子を展示します。


ジョルジュ・レイ(推定)《肘掛け椅子 “昼と夜”》1900-1906年頃 © Musée d'Orsay, Dist RMN - © Patrice Schmidt / distributed by DNPartcom


パリの高級工芸産業-伝統と革新

本展の最後では、技術的な側面から作品を紹介します。アール・ヌーヴォーは、イギリスのデザイン運動に端を発し、ベルギー、オーストリアはじめ全ヨーロッパ、そしてティファニーに代表されるようにアメリカにおいても流行し、欧米を席巻した様式です。各国それぞれが、独特の様相をもっていますが、フランスのアール・ヌーヴォーの特色といえるのが、高級工芸産業と結びついた発展でした。18世紀ロココの時代から連綿と続く伝統的工芸職人の技量のうえに、ガレ、ラリック、マジョレル、ギマールなど傑出したデザイナーが新鮮なデザイン原理を持ち込み、近代の高級産業として花開いたのがパリのアール・ヌーヴォーなのです。当時ヨーロッパの最高水準にあったとされるその技術を、七宝、陶磁器、金属工芸の3ジャンルにしぼり、オルセーの誇る逸品によって紹介します。


アルマン・ポワン、シャルル・ヴィリオン、オート=クレール組合工房《蛇文小櫃》1897-1899年 © Musée d'Orsay, Dist RMN / Jean Schormans / distributed by DNPartcom


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