髙山辰雄画伯は現代日本画壇の代表的な存在であるのみならず、一貫して若々しい画風を開拓してきた、偉大なる試行者でもあります。今回の展覧会は髙山芸術を最も能弁に物語る屏風作品を中心に、各時期の代表的な作品、版画作品なども含めた内容からなり、その75年の生涯を律した美のありかたを、100点近い作品によってたどってみよう、というものです。二度の日月星辰展会場を飾った主要屏風、《山》《春秋図》《銀河》《明星》《日》《月》などのほかに、日展の出品作として話題を集めた、《出山》《沼》《瀬戸内海》《冬》《行人》といった名作がならび、また旧来あまり紹介されたことのない小品についても、秀作が揃いました。『唐詩選』『聖家族』『源氏物語』の60点に及ぶ版画集の本格的な紹介も、初めてのことです。