日本抽象画のパイオニアである、村井正誠氏の展覧会を開催いたします。村井正誠氏は1905年(明治38)に岐阜県に生まれ、和歌山県新宮に育ちました。文化学院・大学部美術科の第一期生として勉強され、1929年に渡仏します。エコール・ド・パリに華やぐパリでは、キュビズムやフォーヴィスムなど新しい美術運動も展開しており、さまざまな表現が交錯する渦中に村井氏は身を置くことになりました。マチスやモンドリアンなどの影響を受けつつ、氏は絵画の抽象の探求を始めます。しかし、その表現はいわゆる純粋抽象ではなく、つねに街や人体をモチーフとし、おおらかで暖かみのある曲線と深みのある色面によって各々の作品は構成されています。本展は村井氏の1965年以降から最近作までの中からおよそ40点をピックアップし、いわば近作展というかたちで展覧するものです。