戦後の日本における銅版画のパイオニア駒井哲郎(1920−1976)は、世田谷に居を構え、56才という若さでこの世を去るまで、ここで新鮮な感覚の銅版画を制作してきました。この間、1951年には第1回サンパウロ・ビエンナーレで受賞するなど、国際的にも高い評価を得ています。また、詩人とのコラボレーションとも言うべき、優れた詩画集や装丁等ブックワークにも独自の世界を打ち立てました。世田谷美術館では、世田谷区ゆかりの重要な作家として、ご遺族から寄せられたブックワーク509点や関連図書、原版などを収蔵しています。また、この度福原義春氏のコレクションである、初期から晩年にわたってバランスよく収集され、水彩、リトグラフなども含まれた約80点の作品の寄託を受けることになりました。本展はそのお披露目を兼ね、福原氏のコレクションを核に、他からの借用作品と当館のブックワークを併せ、約250点によって、駒井哲郎の仕事を幅広くご紹介いたします。