[カタログ/2006年発行]
-開催概要から-
近代陶芸の巨匠・富本憲吉の全貌に迫る大回顧展
近代陶芸の巨匠として広く人々に知られる富本憲吉は、1886年、奈良県安堵村に生れ、2006年が生誕120年にあたります。東京美術学校(現・東京藝術大学)図案科に入学し、建築と室内装飾を学び、早期に卒業制作を提出して英国に留学しました。そこでウィリアム・モリスやホイッスラーらの仕事を目の当たりにし、大いに触発されます。帰国後、バーナード・リーチと親交を結び、安堵村の自宅に楽窯を築いて制作した楽焼から、本格的な作陶の道へと入っていきました。1926年には上京し、千歳村(現・世田谷区上祖師谷)に新居と窯を築き、終戦まで制作の拠点としました。戦後は京都に活動の場を移し、東京時代に会得した色絵磁器の技術の洗練のみならず、金銀彩の世界に新境地を見出し、1955年には「色絵磁器」で、第1回重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
1963年に他界するまでの約50年にわたる多彩な作陶活動は、「模様から模様をつくる可からず」という信念のもと、オリジナルな形と模様をひたすらに追求し、用と美の結合という工芸のあり方を求めて格闘した遍歴の軌跡でもあります。
本展は、富本憲吉の生誕120年を記念し、大和時代、東京時代前期の楽焼・土焼・染付・白磁から、東京時代後期、京都時代の色絵・金銀彩まで、全時代の代表作をそろえるとともに、留学先のロンドンでのスケッチや絵手紙、自刻自摺の木版画や装幀本といった多彩な資料など約250点で富本憲吉の全容に迫ります。
1963年に他界するまでの約50年にわたる多彩な作陶活動は、「模様から模様をつくる可からず」という信念のもと、オリジナルな形と模様をひたすらに追求し、用と美の結合という工芸のあり方を求めて格闘した遍歴の軌跡でもあります。
本展は、富本憲吉の生誕120年を記念し、大和時代、東京時代前期の楽焼・土焼・染付・白磁から、東京時代後期、京都時代の色絵・金銀彩まで、全時代の代表作をそろえるとともに、留学先のロンドンでのスケッチや絵手紙、自刻自摺の木版画や装幀本といった多彩な資料など約250点で富本憲吉の全容に迫ります。
目次
あいさつ〔生誕120周年 富本憲吉展〕
「序」内山武夫
「富本憲吉の軌跡」松原龍一
「富本憲吉のデザイン―図案家としての富本憲吉」清水真砂
「富本と民藝―民衆の中の美の発見から量産の試行まで」柳田高志
「富本憲吉の技法」村山閑
図版
I 東京美術学校から留学、帰国 1908-1912
II 大和時代 1913-1926
III 東京時代 1926-1946
IV 京都時代 1946-1963
V 書、画巻、デザインの仕事
VI 関係者との交流
年譜
主要参考文献
作品リスト
奥付〔生誕120周年 富本憲吉展〕
監修:内山武夫(前京都国立近代美術館長)
編集:京都国立近代美術館、朝日新聞社
デザイン:大向務+坂本佳子+市川真莉子
翻訳:松谷誠子
編集協力:株式会社福本事務所
発行:朝日新聞社
印刷:日本写真印刷株式会社
©朝日新聞社 2006※
目次〔富本憲吉の世田谷時代〕
「ある感動のなかのスイカズラ」酒井忠康
「富本憲吉の祖師谷時代」海藤隆吉
図版
I. 成城高等女学校(現・成城学園)
II. 家族へ
III. 日々の暮らしの中に
IV. 窯場
V. 大和の思い出
VI. 書画
「祖師谷の窯場」清水真砂
奥付〔富本憲吉の世田谷時代〕
編集・発行:世田谷美術館(清水真砂、石井幸彦)
デザイン:大向デザイン事務所
印刷:日本写真印刷株式会社
©世田谷美術館 2007