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企画展(終了)
戦後美術を牽引してきた画家の足跡をたどりつつ、絵画の未来を考える。 堂本尚郎は、伯父の日本画家・堂本印象をはじめ、多くの芸術家を輩出した名門一族のもと、1928年京都に生まれ、弱冠23歳で日展特選を受賞するなど、日本画壇で華々しいデビューを飾りました。しかし1952年、印象に随行してヨーロッパを周遊したことをきっかけにフランス留学を決意し、1955年、単身パリへ渡った時点では、日本画を離れて油彩画へと転じました。当時のパリでは、アンフォルメルという抽象絵画の一大潮流が旋風を巻き起こしており、堂本もその渦中に身を投じ、瞬く間にその中心人物となって注目を集めることになりました。その後、この潮流からは距離を取り、パリやニューヨークを拠点に次々とその画風を進化させながら、独自の絵画を展開して、数々の国際展でも高い評価を得るようになりました。しかし1967年、帰国して東京・世田谷にアトリエを構え、ひとりの日本人画家としてさらに新たな画境を切り拓いてゆく道を選び、以後、精力的に制作活動に勤しんで今日に至っています。本展では、これまであまり展覧されることのなかった初期の日本画から初公開の最新作まで、全国各地からご出品いただいた代表作多数を含むおよそ100点の油彩画およびドローイングを展覧いたします。本展が、日本の戦後美術をつねに最先端にあって牽引してきた堂本尚郎の画業の全貌を見渡し、かつ絵画の未来を皆様とともに考える好機になればと願っています。
ミュージアム コレクション
20世紀を駆け抜けた世田谷ゆかりの画家、難波田龍起(1905-1997)、村井正誠(1905-1999)、堂本尚郎(1928-2013)。いずれも現在では主に抽象画家として知られていますが、その画業は全く異なる地点から始まりました。高村光太郎との出会いから画家を志し、のちに抽象絵画を通じて「生」の表現を希求した難波田龍起。若き日の滞欧経験を経て、街並みや人間の姿を抽象化し、のびやかな形と鮮やかな色彩で描いた村井正誠。日本画から洋画に転じ、アンフォルメルを経て独自の日本的抽象へと展開した堂本尚郎。本展では、三者三様の画風の変遷を通して、繰り返しスタイルを変化させながらも、変わらぬ信念で自らの表現を追求し続けた画家たちの軌跡を紹介します。[コーナー展示] 生誕100年記念 名優・高峰秀子の肖像高峰秀子氏からの受贈作品全11点により、梅原龍三郎らが描いた名優・高峰秀子の姿をご紹介します。
ミュージアム コレクション(終了)
本展は「ミュージアム コレクション特別篇」として、「グローバル化時代」をキーワードに、普段はあまり目にすることの少ない大型作品を中心に収蔵品を見つめなおした展覧会です。自国を離れて異国でも創作を展開したロバート・ラウシェンバーグ やデイヴィッド・ナッシュ 、ジャン=ミシェル・バスキア など、ワールド・ワイドに活躍する作家たちの作品をご紹介いたします。この展覧会は、2020年夏の東京オリンピック/パラリンピックに併せて企画されましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で順延となったもので、もともと当館のコレクションを紹介する目的でした。「グローバル化時代」をキーワードにしたのは、国際的なイベントの開催時にふさわしい展示を意図したからですが、80年代半ばに開館した当館のコレクションとしては、ふだんあまり目にすることの少ない海外および日本の現代美術の作家たちの大型作品にしぼった展示となりました。副題に謳ったように「コレクションで楽しむ世界旅行」という形容は、いささか大袈裟ですが、しかし、それぐらいの興味深い展示内容となっているのではないでしょうか。「グローバル化時代」となって、世界の現代美術の作家たちは、斬新な発想と冒険心に充ちた活動を地球規模で繰り広げました。そうしたなかに、もちろん国際的な評価を獲得した日本の作家たちも含まれています。その意味で日本および世界の現代美術のさまざまな潮流を見て取ることも可能です。そしてまた、この展覧会を介して創造的な文化・芸術を支える根本的な社会の仕組みが、本来、どうあるべきなのかを考えるきっかけにしてほしいと願っています。 (酒井忠康・世田谷美術館館長)
イベント(終了)
刊行物
目次ごあいさつ謝辞テキスト「堂本尚郎の日本画」内山武夫「ひとつの選択―堂本尚郎展に寄せて」酒井忠康「世界に飛翔する日本的感性」高階秀爾「堂本尚郎 移動と断絶」尾崎信一郎図版1 初期日本画 1951-19552 アンフォルメル 1956-19613 「二次元的なアンサンブル」から「連続の溶解」へ 1962-19704 「惑星」から「蝕〔異体字:食+虫〕」へ 1971-19795 「連鎖反応」から「臨界」へ 1980-20046 「無意識と意識の間」 2004-7 ドローイング「堂本尚郎年譜」編:中島理壽「堂本尚郎文献目録」編:中島理壽「欧文文献目録」編:杉山悦子・髙林夏子出品作品リスト海外の主要パブリックコレクション奥付編集:尾崎信一郎、杉山悦子執筆:内山武夫、酒井忠康、高階秀爾、尾崎信一郎翻訳:Laurie Berman, John Brennan, Marie Maurin-Boussard, Erika Peschard-Erlih文献目録、年譜作成:中島理壽、杉山悦子、髙林夏子編集協力:鎌田智子デザイン:宮谷一款(株式会社エヌ・シー・ピー)印刷:日本写真印刷株式会社発行:京都国立近代美術館、世田谷美術館©2005 京都国立近代美術館 世田谷美術館