日本の版画史に重要な足跡をのこした駒井哲郎(1920-1976)。10代半ばで銅版画に魅せられた駒井は、この頃よりエッチングなどを学ぶようになりました。東京美術学校(現・東京藝術大学)油画科を卒業し、戦後、1951 年に第1回サンパウロ・ビエンナーレで在聖日本人賞を受賞します。パリ留学を経て帰国後は、世田谷のアトリエで制作に励み、詩人との協働による詩画集、出版物の挿絵も手がけました。夢の情景や、心の中を過ぎ行く幻影などを主題とした駒井の作品は、詩情豊かであり、ときに人間の内面を描き出すようでもあります。技法を丹念に探求する姿勢は、同時代、そして後の世代の芸術家たちにも大きな影響を与えてきました。
没後50年を記念した本展は、世田谷美術館が元資生堂名誉会長の福原義春氏より寄贈を受けた「福原義春コレクション」を主軸に、初期から晩年までの版画のほか、希少な油彩画、挿絵原画といった作品を通じて、駒井の軌跡をたどるものです。また、駒井が所有していた国内外の版画や制作道具、アトリエの写真をはじめとする資料も紹介し、その人間像に迫ります。白と黒の深遠な表現から色彩豊かな作品まで、深い思索を重ねて生み出された多彩な創作の世界をご覧ください。
【展示構成】
第1章:版画へのめざめ[1920-1948]
14歳で銅版画を知った駒井は、その魅力に強く惹かれ、デッサンや技法を学ぶようになりました。当時の駒井が制作したエッチングや東京美術学校在学中の油彩画など、銅版画に出会ってから、作家活動が軌道にのるまでの作品を紹介します。
第2章:満ちてゆく夢と抒情[1948-1955]
駒井は戦後、1950年に春陽会賞、51年に第1回サンパウロ・ビエンナーレで在聖日本人賞を受賞し、順調に美術界で知名度を高めていきました。試行錯誤を繰り返しながら表現を模索し、代表作である夢を主題とした連作や《束の間の幻影》(1951年)をはじめ、独自の抒情あふれる作風を生み出していきます。1952年には若い美術家や音楽家らのグループ「実験工房」にも参加しました。第2章では、版画家として本格的に発表を始めた頃からパリ留学までの作品を展示します。
第3章:白と黒の深淵[1956-1976]
留学中、ヨーロッパの豊かな銅版画の伝統を目の当たりにし、自信が大きく揺らいだ駒井でしたが、帰国後、樹木をモチーフとした清新な作品などを経て、詩人との共作による詩画集から書籍の挿絵まで幅広い仕事を手がけました。本章では、パリ留学を終えた後、晩年までに制作されたモノクロームの作品をとりあげ、詩的でありながら、ときに人間の暗部をのぞきこむかのような、深遠な表現をご覧いただきます。
第4章:美しき色彩の世界[1956-1976]
「銅版画の良さはやっぱり黒の世界にあると思う」という言葉をのこしている駒井は、白と黒による表現を銅版画の神髄と捉えていたようですが、一方で色刷りによる作品も多数のこしました。1972年に1年間、表紙を担当した雑誌『新潮』(新潮社)の表紙原画には、油絵具やパステル粉が使われ、駒井の優れた色彩感覚をみることができます。ユーモアやあそび心も感じさせる、駒井の美しい色彩の世界を紹介します。
第5章:憧憬と探求―敬愛した作家たちと、愛用品
展覧会を締めくくる第5章では、駒井が生涯にわたり敬愛の念を抱き、影響を受けた国内外の作家による版画を紹介します。また、制作道具や銅原版、アトリエでの姿をとらえた写真などの資料も展示し、深い思索と試行を重ねながら銅版画と向き合い続けた駒井の人物像に迫ります。
【展覧会の見どころ】
幅広い作品・資料でたどる駒井哲郎の軌跡
本展は、初期から晩年までの版画のほか、これまで展示される機会の少なかった油彩画、初公開の挿絵原画、駒井旧蔵のコレクションや制作道具を含む約300点の作品、資料により創作の軌跡をたどる回顧展です。駒井はモノクロームの抒情あふれる作風で知られますが、一方で、人間が深層に抱える暗部に迫るような作品を残し、さらには花などをモチーフに華やかな色彩表現も展開しました。様々な技法を駆使して、心に浮かぶ情景を銅版に刻んだ駒井の世界を一堂にご覧いただく機会となります。
童話『夢を追う子』の挿絵原画を初公開!
文学者とのコラボレーションによる詩画集や、書籍の装幀など、駒井は出版物の仕事にも数多く携わりました。本展では、童話『夢を追う子』(W.H.ハドソン著、西田実訳、1972年、福音館書店)のために制作された、初公開となる幻想的な挿絵原画の数々を展示します。
駒井旧蔵のコレクションから
駒井は生前、自身が関心を向けた国内外の作家たちによる作品を所有していました。世田谷美術館に寄託されている駒井の旧蔵作品から、親しい交流のあった恩地孝四郎(1891-1955)や長谷川潔(1891-1980)、10代で銅版画に出会った頃より常に敬愛し続けたフランスのシャルル・メリヨン(1821-1868)、ロドルフ・ブレダン(1822-1885)などの版画を展示します。
没後50年を記念した本展は、世田谷美術館が元資生堂名誉会長の福原義春氏より寄贈を受けた「福原義春コレクション」を主軸に、初期から晩年までの版画のほか、希少な油彩画、挿絵原画といった作品を通じて、駒井の軌跡をたどるものです。また、駒井が所有していた国内外の版画や制作道具、アトリエの写真をはじめとする資料も紹介し、その人間像に迫ります。白と黒の深遠な表現から色彩豊かな作品まで、深い思索を重ねて生み出された多彩な創作の世界をご覧ください。
【展示構成】
第1章:版画へのめざめ[1920-1948]
14歳で銅版画を知った駒井は、その魅力に強く惹かれ、デッサンや技法を学ぶようになりました。当時の駒井が制作したエッチングや東京美術学校在学中の油彩画など、銅版画に出会ってから、作家活動が軌道にのるまでの作品を紹介します。
第2章:満ちてゆく夢と抒情[1948-1955]
駒井は戦後、1950年に春陽会賞、51年に第1回サンパウロ・ビエンナーレで在聖日本人賞を受賞し、順調に美術界で知名度を高めていきました。試行錯誤を繰り返しながら表現を模索し、代表作である夢を主題とした連作や《束の間の幻影》(1951年)をはじめ、独自の抒情あふれる作風を生み出していきます。1952年には若い美術家や音楽家らのグループ「実験工房」にも参加しました。第2章では、版画家として本格的に発表を始めた頃からパリ留学までの作品を展示します。
第3章:白と黒の深淵[1956-1976]
留学中、ヨーロッパの豊かな銅版画の伝統を目の当たりにし、自信が大きく揺らいだ駒井でしたが、帰国後、樹木をモチーフとした清新な作品などを経て、詩人との共作による詩画集から書籍の挿絵まで幅広い仕事を手がけました。本章では、パリ留学を終えた後、晩年までに制作されたモノクロームの作品をとりあげ、詩的でありながら、ときに人間の暗部をのぞきこむかのような、深遠な表現をご覧いただきます。
第4章:美しき色彩の世界[1956-1976]
「銅版画の良さはやっぱり黒の世界にあると思う」という言葉をのこしている駒井は、白と黒による表現を銅版画の神髄と捉えていたようですが、一方で色刷りによる作品も多数のこしました。1972年に1年間、表紙を担当した雑誌『新潮』(新潮社)の表紙原画には、油絵具やパステル粉が使われ、駒井の優れた色彩感覚をみることができます。ユーモアやあそび心も感じさせる、駒井の美しい色彩の世界を紹介します。
第5章:憧憬と探求―敬愛した作家たちと、愛用品
展覧会を締めくくる第5章では、駒井が生涯にわたり敬愛の念を抱き、影響を受けた国内外の作家による版画を紹介します。また、制作道具や銅原版、アトリエでの姿をとらえた写真などの資料も展示し、深い思索と試行を重ねながら銅版画と向き合い続けた駒井の人物像に迫ります。
【展覧会の見どころ】
幅広い作品・資料でたどる駒井哲郎の軌跡
本展は、初期から晩年までの版画のほか、これまで展示される機会の少なかった油彩画、初公開の挿絵原画、駒井旧蔵のコレクションや制作道具を含む約300点の作品、資料により創作の軌跡をたどる回顧展です。駒井はモノクロームの抒情あふれる作風で知られますが、一方で、人間が深層に抱える暗部に迫るような作品を残し、さらには花などをモチーフに華やかな色彩表現も展開しました。様々な技法を駆使して、心に浮かぶ情景を銅版に刻んだ駒井の世界を一堂にご覧いただく機会となります。
童話『夢を追う子』の挿絵原画を初公開!
文学者とのコラボレーションによる詩画集や、書籍の装幀など、駒井は出版物の仕事にも数多く携わりました。本展では、童話『夢を追う子』(W.H.ハドソン著、西田実訳、1972年、福音館書店)のために制作された、初公開となる幻想的な挿絵原画の数々を展示します。
駒井旧蔵のコレクションから
駒井は生前、自身が関心を向けた国内外の作家たちによる作品を所有していました。世田谷美術館に寄託されている駒井の旧蔵作品から、親しい交流のあった恩地孝四郎(1891-1955)や長谷川潔(1891-1980)、10代で銅版画に出会った頃より常に敬愛し続けたフランスのシャルル・メリヨン(1821-1868)、ロドルフ・ブレダン(1822-1885)などの版画を展示します。

![駒井哲郎 《Le Rêve(星月夜[夢No.3])》 1950年、世田谷美術館蔵(福原義春コレクション) ©Ari Komai 2026/JAA2600154](https://www.setagayaartmuseum.or.jp/assets/exhibition/images/sp_upld01176_e_2.jpg?d=1792461889)









