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刊行物

『大三彩展―東西交流に咲いた陶の華』

[カタログ/1989年発行]

-開催概要から-

 三彩陶器は鉛を媒熔剤とした低火度の緑、褐、白の釉薬を器物の全面にかけたもので、一種の彩釉陶器です。それは世界の陶器史上、紋様、色彩、器形の斬新さにおいて群を抜いており、そのうえ王朝風な気品と優雅さをたたえたものや、西域のエキゾティシズムを感じさせるものもあり多種多様です。
三彩陶器は8世紀から12世紀にかけて発生したもので、いつどこで創りだされたものか、はっきりとは明らかになっていません。代表的なものに中国の唐三彩、遊牧民である契丹族の遼三彩、ペルシャのイスラム期のペルシャ三彩、そして日本の奈良三彩があります。
ユーラシア大陸を結ぶこれら三彩陶器の流れは、シルクロードによってもたらされたものですが、その伝播の様子はまさしくセラミックロードと呼んでも過言ではありません。
中国の挌陽博物館、遼寧省博物館の協力を得て、国宝を含む100余点の唐三彩、遼三彩の出展があり、国内から50余点のペルシャ三彩、奈良三彩の作品が集まりました。本展は東西交流に咲いた陶の華・三彩陶器をかつてない規模で御紹介するものです。

目次

解説1 洛陽唐三彩のあらまし

解説2 遼三彩のあらまし

解説3 ペルシャ・奈良三彩

補説1 三彩をめぐる東西南北の歴史舞台

補説2 唐三彩をめぐる武則天(ルビ:ブソクテン)と安菩(ルビ:アンボ)

「視点 三彩、あるいは三彩をめぐる闇の深さについて」宝木範義

展示解説

参考文献

年表



奥付

監修:江上波夫(東京大学名誉教授・汎亜細亜文化交流センター会長)

中国側執筆者:張剣(洛陽博物館 副研究員)、余扶危(洛陽文物工作隊 副研究員)、間萬章(遼寧省博物館 研究員)、徐秉琨(遼寧省博物館 研究員)、李紅軍(遼寧省博物館 館員)、梁淑琴(遼寧省博物館 館員)、馬雲鴻(遼寧省博物館 館員)、趙洪山(遼寧省博物館 館員)、蘇麗萍(遼寧省博物館 助理館員)

編集・改訳:森住和弘(汎亜細亜文化交流センター理事長)

編集協力:世田谷美術館、神戸市立博物館

発行者:汎亜細亜文化交流センター、第一企画株式会社

制作:株式会社美術出版デザインセンター

撮影:原耕平、内田一夫、高橋良美

©1989汎亜細亜文化交流センター・第一企画株式会社

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