1986年3月30日、緑豊かな東京都立砧公園の一画に開館した世田谷美術館は、美術家など多くの文化人が居住する世田谷ならではの風土に育まれ、今年で40周年をむかえます。
世田谷区にゆかりのある作家や、アンリ・ルソーなど独学で創作に励んだ人々の作品をはじめ、国内外の近現代美術を中心とした収蔵作品は、約18,000点にのぼります。これまで、開館記念展「芸術と素朴」を皮切りにさまざまな展覧会を開催するほか、建築家・内井昭蔵によるユニークな建築空間を活かし、演劇や舞踊、音楽のイベントまで幅広い事業を行ってきました。
また、世田谷区立小学校の4年生が学校ごとに来館し、ボランティアの鑑賞リーダーとともに美術館をめぐる「美術鑑賞教室」や、開館当初より重視してきた講座、ワークショップなどを通して生まれた地域の人々とのつながりも美術館を支える礎となっています。
こうした40年の活動の根底には、人々の暮らしや心に関わる芸術の在り方を探求しようとする姿勢があります。本展では、絵画、彫刻から写真、工芸まで多様な収蔵作品と、過去の展覧会の記録写真といった諸資料を通じて開館から現在までの時を振り返り、今後の活動へとつなげていくひとつの節目としたいと思います。
【本展のみどころ】
・国内外の絵画や彫刻、工芸のほか、昭和の東京を写した写真など、世田谷美術館の多彩なコレクション約200点を展示。
・アンリ・ルソー、ジャン=ミシェル・バスキア、北大路魯山人など、世田谷美術館の人気作品が一堂に会します!
・横尾忠則をはじめとしたアーティストによる公開制作やワークショップ、アフリカの民族音楽の演奏会、美術館の空間を活かしたパフォ―マンスなど、過去の世田谷美術館ならではのイベントの記録写真も紹介。
・来館された方々のセタビでの思い出を、美術館の年表に貼っていただく参加コーナーも。
【展示構成】
プロローグ:開館前夜
世田谷美術館の基本構想が固まったのは1982年。「区民生活に密着した美術館」「教育的役割を重視する教育美術館」「美術文化の交流の場としての美術館」「太陽と緑に包まれた都市空間のなかの美術館」をコンセプトに、バブル景気に向かう1980年代前半に建設準備が進められました。地域にゆかりのある作家に加え、他の美術館にはない特色あるコレクションとして、独学の人々の作品を収集対象とすることが決まり、1982年より作品収集が始まりました。この頃に収蔵された作品とともに、美術館の構想から開館までの経緯を振り返ります。
第1章:開館記念展「芸術と素朴」にはじまる
1986年3月30日、東京都立砧公園内に世田谷美術館が開館しました。開館記念展として企画展「芸術と素朴」、収蔵作品展「世田谷の美術」を開催し、所信表明ともいえるふたつの展覧会により世田谷美術館の活動がはじまりました。本章では、「芸術と素朴」に出品された欧米の独学の人々や、精神的な疾患を抱える人々などをとりあげた「パラレル・ヴィジョン 20世紀美術とアウトサイダー・アート」展(1993年)の出品作家による作品、1980年代に隆盛したニュー・ペインティングなどの現代美術といった海外作家たちの創作を紹介します。
第2章:東京という風景
世田谷美術館では、世田谷区豪徳寺に在住した荒木経惟など、日本を代表する写真家が東京の風景を写した写真を収集してきました。1980年代は都市論に関わる言説が活発な時代でしたが、当館では開館当初より桑原甲子雄や師岡宏次、平嶋彰彦、宮本隆司らを講師に招き「都市」をテーマとした講座を行っていました。展覧会としては1993年の「ラヴ・ユー・トーキョー 桑原甲子雄・荒木経惟写真展」のほか、濱谷浩、田沼武能、奈良原一高といった写真家の回顧展も継続的に開催してきました。こうした写真家たちのまなざしが昭和、平成を通じて捉えた多様な東京の姿をご紹介します。
第3章:心をたがやす
人を創作へとかりたてるものは、体験や記憶、心の内にひそむ感情など様々です。自らのシベリア抑留体験を描いた久永強や、50代で制作をはじめ、家族や知人との出来事を明るく力強い色彩で描いた塔本シスコのほか、山下清、坂上チユキ、草間彌生などの作家をとりあげ、それぞれの表現の根底にある原動力に目を向けます。
第4章:生活によりそう
世田谷美術館は、美術を人々の日常的な営みと密接に関わりあいながら暮らしを豊かに彩るものと捉え、「暮らしと美術」を作品収集や展覧会における重要なテーマとしてきました。そうした活動のひとつとして、器や着物をはじめとする工芸作品の収集が挙げられます。陶芸家の富本憲吉や原清をはじめ、世田谷で活躍した作家による作品のほか、戦後、「暮しの手帖社」の編集長として庶民の暮らしや社会の在り方に鋭い視点で切り込んだ花森安治による雑誌の表紙原画といった、暮らしと関わりのある作品をご紹介します。
第5章:世田谷のアトリエから
美術、文学、音楽、演劇、映画など、様々な分野の文化人が居を構えた世田谷。区内に在住した美術家には日本の美術界を牽引した人物が多く含まれ、展覧会、イベントやワークショップといった様々な事業により地域の美術と文化状況を紹介してきました。開館の年から定期的に世田谷の作家の回顧展を開催するほか、2020年から24年には「美術家たちの沿線物語」と題し、区内を走る鉄道とその各沿線に居住する作家たちをとりあげた展覧会を開催しています。本章では、過去に個展を開催した作家を中心に、世田谷の地で生まれた多彩な表現をご紹介します。
第6章:学校と美術館
世田谷美術館では開館の1986年より、当時はまだ珍しかった「教育普及事業」に力を入れてきました。なかでも、世田谷区立の全小学校4年生を授業の一環として受け入れる「世田谷区立小学校美術鑑賞教室」は全国的に先駆けて行われたプログラムで、今日まで続いています。この40年間に、学校と美術館が連携した子どもたちへの取り組みについてご紹介します。
参加コーナー:セタビとワタシ年表
美術館の年表に、来館された方々のセタビでの思い出を貼って頂く参加コーナーです。子どもの初めての美術館体験、若い頃デートで来館した時の写真など、あなたのセタビの思い出を展示しませんか?
【関連パフォーマンス事業】
「偶戯を巡る2026/オシラサマを巡る旅」
長井望美(人形遣い・人形美術家)と藤原佳奈(戯曲作家・演出家)による人形芸能のルーツを辿る研究型実践プロジェクト。「世田谷美術館×アートネットワーク・ジャパン Performance Residence in Museum 2023-24」への参加が契機となり発足。会期中に展示・パフォーマンス・オープンラボなど様々なイベントを開催します。詳細は美術館イベントページをご覧ください。
世田谷区にゆかりのある作家や、アンリ・ルソーなど独学で創作に励んだ人々の作品をはじめ、国内外の近現代美術を中心とした収蔵作品は、約18,000点にのぼります。これまで、開館記念展「芸術と素朴」を皮切りにさまざまな展覧会を開催するほか、建築家・内井昭蔵によるユニークな建築空間を活かし、演劇や舞踊、音楽のイベントまで幅広い事業を行ってきました。
また、世田谷区立小学校の4年生が学校ごとに来館し、ボランティアの鑑賞リーダーとともに美術館をめぐる「美術鑑賞教室」や、開館当初より重視してきた講座、ワークショップなどを通して生まれた地域の人々とのつながりも美術館を支える礎となっています。
こうした40年の活動の根底には、人々の暮らしや心に関わる芸術の在り方を探求しようとする姿勢があります。本展では、絵画、彫刻から写真、工芸まで多様な収蔵作品と、過去の展覧会の記録写真といった諸資料を通じて開館から現在までの時を振り返り、今後の活動へとつなげていくひとつの節目としたいと思います。
【本展のみどころ】
・国内外の絵画や彫刻、工芸のほか、昭和の東京を写した写真など、世田谷美術館の多彩なコレクション約200点を展示。
・アンリ・ルソー、ジャン=ミシェル・バスキア、北大路魯山人など、世田谷美術館の人気作品が一堂に会します!
・横尾忠則をはじめとしたアーティストによる公開制作やワークショップ、アフリカの民族音楽の演奏会、美術館の空間を活かしたパフォ―マンスなど、過去の世田谷美術館ならではのイベントの記録写真も紹介。
・来館された方々のセタビでの思い出を、美術館の年表に貼っていただく参加コーナーも。
【展示構成】
プロローグ:開館前夜
世田谷美術館の基本構想が固まったのは1982年。「区民生活に密着した美術館」「教育的役割を重視する教育美術館」「美術文化の交流の場としての美術館」「太陽と緑に包まれた都市空間のなかの美術館」をコンセプトに、バブル景気に向かう1980年代前半に建設準備が進められました。地域にゆかりのある作家に加え、他の美術館にはない特色あるコレクションとして、独学の人々の作品を収集対象とすることが決まり、1982年より作品収集が始まりました。この頃に収蔵された作品とともに、美術館の構想から開館までの経緯を振り返ります。
第1章:開館記念展「芸術と素朴」にはじまる
1986年3月30日、東京都立砧公園内に世田谷美術館が開館しました。開館記念展として企画展「芸術と素朴」、収蔵作品展「世田谷の美術」を開催し、所信表明ともいえるふたつの展覧会により世田谷美術館の活動がはじまりました。本章では、「芸術と素朴」に出品された欧米の独学の人々や、精神的な疾患を抱える人々などをとりあげた「パラレル・ヴィジョン 20世紀美術とアウトサイダー・アート」展(1993年)の出品作家による作品、1980年代に隆盛したニュー・ペインティングなどの現代美術といった海外作家たちの創作を紹介します。
第2章:東京という風景
世田谷美術館では、世田谷区豪徳寺に在住した荒木経惟など、日本を代表する写真家が東京の風景を写した写真を収集してきました。1980年代は都市論に関わる言説が活発な時代でしたが、当館では開館当初より桑原甲子雄や師岡宏次、平嶋彰彦、宮本隆司らを講師に招き「都市」をテーマとした講座を行っていました。展覧会としては1993年の「ラヴ・ユー・トーキョー 桑原甲子雄・荒木経惟写真展」のほか、濱谷浩、田沼武能、奈良原一高といった写真家の回顧展も継続的に開催してきました。こうした写真家たちのまなざしが昭和、平成を通じて捉えた多様な東京の姿をご紹介します。
第3章:心をたがやす
人を創作へとかりたてるものは、体験や記憶、心の内にひそむ感情など様々です。自らのシベリア抑留体験を描いた久永強や、50代で制作をはじめ、家族や知人との出来事を明るく力強い色彩で描いた塔本シスコのほか、山下清、坂上チユキ、草間彌生などの作家をとりあげ、それぞれの表現の根底にある原動力に目を向けます。
第4章:生活によりそう
世田谷美術館は、美術を人々の日常的な営みと密接に関わりあいながら暮らしを豊かに彩るものと捉え、「暮らしと美術」を作品収集や展覧会における重要なテーマとしてきました。そうした活動のひとつとして、器や着物をはじめとする工芸作品の収集が挙げられます。陶芸家の富本憲吉や原清をはじめ、世田谷で活躍した作家による作品のほか、戦後、「暮しの手帖社」の編集長として庶民の暮らしや社会の在り方に鋭い視点で切り込んだ花森安治による雑誌の表紙原画といった、暮らしと関わりのある作品をご紹介します。
第5章:世田谷のアトリエから
美術、文学、音楽、演劇、映画など、様々な分野の文化人が居を構えた世田谷。区内に在住した美術家には日本の美術界を牽引した人物が多く含まれ、展覧会、イベントやワークショップといった様々な事業により地域の美術と文化状況を紹介してきました。開館の年から定期的に世田谷の作家の回顧展を開催するほか、2020年から24年には「美術家たちの沿線物語」と題し、区内を走る鉄道とその各沿線に居住する作家たちをとりあげた展覧会を開催しています。本章では、過去に個展を開催した作家を中心に、世田谷の地で生まれた多彩な表現をご紹介します。
第6章:学校と美術館
世田谷美術館では開館の1986年より、当時はまだ珍しかった「教育普及事業」に力を入れてきました。なかでも、世田谷区立の全小学校4年生を授業の一環として受け入れる「世田谷区立小学校美術鑑賞教室」は全国的に先駆けて行われたプログラムで、今日まで続いています。この40年間に、学校と美術館が連携した子どもたちへの取り組みについてご紹介します。
参加コーナー:セタビとワタシ年表
美術館の年表に、来館された方々のセタビでの思い出を貼って頂く参加コーナーです。子どもの初めての美術館体験、若い頃デートで来館した時の写真など、あなたのセタビの思い出を展示しませんか?
【関連パフォーマンス事業】
「偶戯を巡る2026/オシラサマを巡る旅」
長井望美(人形遣い・人形美術家)と藤原佳奈(戯曲作家・演出家)による人形芸能のルーツを辿る研究型実践プロジェクト。「世田谷美術館×アートネットワーク・ジャパン Performance Residence in Museum 2023-24」への参加が契機となり発足。会期中に展示・パフォーマンス・オープンラボなど様々なイベントを開催します。詳細は美術館イベントページをご覧ください。




















