Ars cum natura ad salutem conspirat

アーカイブ:2011年11月


素敵な時間は、あっという間。


11月18日金曜日の夜、

宮本三郎記念美術館では、

とても素敵な催しがありました。


文筆歌手として近年目覚ましい活躍をされている、

川上未映子さんをお招きしての

小さな美術館コンサート。


《凍土花》洗浄!


世田谷美術館の常設作品、伊藤公象《凍土花》。およそ1000個の独立した陶器のオブジェが窓外のテラスにびっしりと敷き詰められ、隅の方は壁を這い上がらんばかりに積み重なり、その全体でひとつの作品となっています。子どもたちにも大人気なため、当館鑑賞リーダーの最も愛着ある作品のひとつでもあります。しかし、20年以上の間、雨風にさらされて、最近ではだいぶ汚れが目立ってきておりました。


テラスに防水工事を行うこの機会を活かして、このたびこの作品を一時的に撤去し、洗浄いたしました。


美術館の空調のなぞ


世田谷美術館は、2012年の3月30日までお休みをいただいて改修工事を行っています。

我々職員は、館内の工事をしないエリアに仮事務室を構え、館外で行うワークショップの準備や来年度の展覧会準備をしています。毎日、「ギー、ギー」「ガァー、ガァー」「ドタバタ」など不思議な音が鳴り響いています。


主な工事は、25年間休まず働いた空調機の交換と配管の整備です。老朽化した空調機は、温湿度を一定に保ちにくく、そのために作品はダメージを受け易くなってしまいます。また、来館してくださるみなさまにも、快適に過ごしていただけなくなります。


特に作品を展示している展示室や作品を保管する収蔵庫は、作品保護のために24時間空調をかけ続けて温湿度を保っています。25年間休まず使用すると、216000時間も働いたことになります。時間で換算すると凄い桁です!


ページ替えしています


「会期中、展示替えを行います」


展覧会のチラシや目録でこのような文章を読んだことのある方は多いのではないでしょうか。

保護や、かぎられた会期でより多くの作品をご覧いただくため、展覧会では会期中作品の展示替えを行うことが少なくありません。訪れた展覧会で、「見たかった作品の展示期間が終わっていた!」という苦い経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。場合によっては、作品が会期によって総入れ替えということも。


現在世田谷美術館分館の宮本三郎記念美術館で開催中の「荒木経惟―人・街―」展でも、展示替えを行っています。1月9日(月・祝)までがⅠ期、1月14日(土)から3月20日(火・祝)までがⅡ期で、作品が総入れ替えするパターンです。そしてこれに加え、各会期でページ替えを行っています。


小説のなかの画家たち—「無頭の鷹」のDJ


小説には魅力的な画家の登場する作品がたくさんあります。トルーマン・カポーティ(1924—1984)の短編小説「無頭の鷹」(The Headless Hawk)はそのひとつとして忘れることができません。1985年の夏、美術大学の学生だったときに、たまたま手にした雑誌にその翻訳は掲載されていました。訳者の村上春樹さんはこの小説との出会いについてこんなふうに記しています。


「個人的なことを言うと、僕が初めて英語で読んだカポーティの短編小説はこの『無頭の鷹』である。高校時代に英語の副読本に収められていたこの小説の抜粋を読み、その文章の比類のない美しさに打たれて、すぐにペーペーバックを買ってきて全文を読んだ。それからしばらくのあいだ熱病にかかったみたいにみたいにカポーティの文章を英語で読み漁ったことを記憶している。」


インターン実習3(小学校で授業する Part2)


出張授業では子どもたちに作品(カラーコピー)をよく観てもらいます。


例えば、ルイ・ヴィヴァン作の≪ムーラン・ルージュ≫を子どもたちに見せて「この季節はなんだと思う?」と質問します。「秋!」「冬!」「秋か冬!」子どもたちは大きな声で口ぐちに答えてくれます。「なんでそう思うの?」「だって木に葉っぱがないんだもの!」


このような「描かれているもの」をちゃんと観て、想像する作業をしばらく続けていくと、授業者側も予期していない子どもたちの視点に出会います。


「後ろの緑がとてもきれいです」と顔を赤らめながら一生懸命話してくれた女の子の観た絵はアンドレ・ボーシャン作の≪ばら色の衣装をつけた二人の踊り子≫でした。中央に大きく描かれているのは踊り子なのに、彼女は後ろに描かれた緑に注目していました。


「抽象の風Ⅱ」展開催中です


清川泰次記念ギャラリーでは10月より「抽象の風Ⅱ」展が始まりました。


今回の展示は清川泰次の作品とともに、

世田谷美術館に収蔵されている、

桑原盛行、千葉勝、堂本尚郎、堀内正和、湯原和夫、横尾龍彦による

15点の作品が展示されています。


またこの展覧会のスタートと合わせ、10月より、

SHOPにてカリス成城のハーブティの販売も開始いたしました。

カリス成城は、清川泰次記念ギャラリーより歩いて5分ほどにある素敵なご近所さんです。

1983年創業のこのお店は、

日本で最初のハーブショップとして成城にオープンし、

草分け的存在として、今でも日本のハーブ業界をリードされています。


セタビ Podcasting Vol.28


ゲスト:原田吾朗氏(東京藝術大学 大学院 美術研究科

 先端芸術表現専攻 修士課程)

ナビゲータ:野田尚稔(当館学芸員)



第2回世田谷区芸術アワード“飛翔”の美術部門を受賞された

原田吾朗さんにお話を伺います。



「第2回 世田谷区芸術アワード“飛翔”受賞記念発表 

 原田吾朗展」

10月29日(土)~11月11日(金)午前11時~午後7時

休館日: 10月31日(月)、11月7日(月)

会場: 世田谷ものづくり学校マルチプルスペース

〒154-0001 東京都世田谷区池尻2-4-5 Tel.03-5481-9011

http://www.r-school.net/




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そして美術館をめぐる旅はつづく


気持ちのよい季節になりました。

木々が豊かに実り芳醇な香りを漂わせています。

ふとどこかへ出かけたくなる、そんな季節です。

ある良く晴れた休日、秋色の服を着てわたしも街にでました。

向かった先はもちろん美術館……ではなく映画館でした。


…すみません。


ですが今は芸術の秋。

さらには、スポーツの、食欲の秋。

秋という季節はさまざまな好奇心に寛大です。


映画館というところは不思議で、

行かなくなると足が遠のき、行きはじめると次また次と通うようになる。

みなさんそんなふうに感じたことはありませんか?

その理由は予告編にあると思うのです。


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