Ars cum natura ad salutem conspirat

アーカイブ:2015年02月


映画=創造の現場


「映画ってなんだろう」にも多くの答えがあると思うのです。

「自分ってなんだろう」「生きるってなんだろう」「美術ってなんだろう」という問いと同じように。

それに対するひとつの答えとして「映画=創造の現場」は、今回の展覧会を楽しみにしていた私にとって、納得のゆく回答でした。


映画そのものというより、それを創る現場の人々、特に映画美術にスポットが当てられているのが今回の展覧会です。

作品が創られる時には、作者の存在は言うまでもなく重要なのですが、映画にはたくさんの人が関わっているため、そこには表舞台に上がらない多くの人々の熱意や技術や働きも込められているのです。


東宝スタジオ展の会場に出現した、青空に浮かぶ白い雲 


2月21日から始まる「東宝スタジオ展」のチラシやポスターをすでに眼にされた方もいらっしゃると思います。チラシやポスターなどでメインビジュアルとして使用している写真の海原に見える部分は、かつて東宝スタジオにあった特殊撮影用の大プールです。ここでは、戦争映画や怪獣映画など、いわゆる特撮作品が数多くがつくられました。建設当時、世界最大の規模を誇り、まさにそれは、東宝スタジオを代表する施設でした。


ですからこの写真では一見、海原に接する空が、画面いっぱいに広がっているように見えますが、中央を横切るホリゾントの手すりから下は、映画セットの背景師が描いた空と雲なのです。

 

「東宝スタジオ展」では、いろいろなクリエイターたちの仕事に焦点をあて、いかにして映画がつくられていくのかを、監督の絵コンテ、映画美術家によるセットのデザイン画、衣裳デザイナーや特殊美術のデザインなど多数の資料でご紹介しています。

そして、なんと映画セットさながらの背景画も会場に出現させました。


線をめぐって


まだまだ寒い日がつづき、暖かい太陽が待ち遠しい今日この頃。

現在、世田谷美術館分館の清川泰次記念ギャラリーでは、今年度最後の展覧会「清川泰次-線をめぐって」を開催中です。色彩豊かなⅡ期展「清川泰次-色との対話」から一転、冬を思わせるすっきりとした色合いの作品など、写真・立体作品を含め、約30点の作品をご紹介しています。


清川泰次が一筆一筆思いを込めて描き出してきた「線」の世界。清川泰次の絵画の線は、実に様々に変化をしています。初期の作品に見られる、モノをかたちづくるための輪郭としての役割だった線は、次第に「線」それ自体が主役となっていきます。

初期から晩年まで、線の可能性を追い求めつづけた清川泰次。彼が描いた線をじっと見つめていると、不思議と人の人生をなぞっているように思えてきます。


セタビPodcasting Vol.40(開催中の企画展に関連した音声コンテンツ)


ゲスト:難波田武男氏 (難波田史男の実弟・難波田龍起の三男)

ナビゲータ:杉山悦子(当館学芸員)


「難波田史男の世界~イメージの冒険~」展で多大なご協力をいただきました難波田武男さんにお越しいただきました。

第二回目の今回は、大学進学後の史男の印象や、史男が急逝したのちの父・龍起のこと、また、世代を超えた史男の作品の魅力などについて、お話を伺いました。


「難波田史男の世界―イメージの冒険」

2014年12月6日(土)~2015年2月8日(日)



PLAY(赤い三角印)をクリックして再生してください。


ご利用方法について(※PCでお楽しみください)


セタビPodcasting Vol.39(開催中の企画展に関連した音声コンテンツ)


ゲスト:難波田武男氏 (難波田史男の実弟・難波田龍起の三男)

ナビゲータ:杉山悦子(当館学芸員)


「難波田史男の世界~イメージの冒険~」展で多大なご協力をいただきました難波田武男さんにお越しいただきました。

第一回目の今回は、武男さんから見た本展覧会の印象や、子供のころや絵を描き始めたころの史男のこと、またご家族のエピソードなどについて、お話を伺いました。


「難波田史男の世界―イメージの冒険」

2014年12月6日(土)~2015年2月8日(日)



PLAY(赤い三角印)をクリックして再生してください。


ご利用方法について(※PCでお楽しみください)


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