Ars cum natura ad salutem conspirat

アーカイブ:2007年06月


収蔵庫で作業


美術館の収蔵庫で作業なんていうと学芸員ぽいですか。

整理してきれいに収めていても、数が多かったり、展覧会ごとに少しずつ移動したりと、チェックは欠かせません。

そんななか、恩地孝四郎に師事し、長谷川潔らと日本版画協会を設立し、世田谷に長く住まわれた稲垣知雄の作品の整理をしています。戦後は猫をモチーフにした作品が多く、収蔵品展で見て覚えている方も多いでしょう。戦前は猫とはずいぶん雰囲気の違う風景や植物の版画が多く、あらためてじっくり見て…、しかし、じっくり見ていると作業が進まないので、てきぱきと確認して、また保存用の箱に収めていくのでした。ほぼ肉体労働です。それでも空調が管理された収蔵庫は快適で、静かで、仕事がはかどり、この作品たちの出番を考えなければと、ひそかに想うのでした。


「青山二郎の眼」展図録好評 !!


展覧会も始まって10日程経ちましたが、お客様の出足も好調で大変嬉しく思っています。初日に開催しました白洲信哉氏の講演会は満員札止めとなり、16日の青柳恵介氏の講演会もほぼ満席となり、青山二郎に対する関心の高さが伺われます。展覧会に来られたお客様も希代の目利き・青山二郎が辿った道のりを確かめるように古陶磁を1点1点丹念にご覧になっています。また、本展の図録も好評で購入者の割合が非常に高いのも本展の特徴となっています。


1日限りの展覧会「4年生の眼展」


区内の小学校4年生が世田谷美術館の展覧会を見学する恒例の鑑賞教室が「青山二郎の眼」展でもはじまりました。そして美術館に来て見学する前に、インターンの学生さんが、展覧会をより楽しく見てもらうために事前に学校で行う出張授業も同時平行でスタートしました。偶然にできる滲みの面白さを味わう授業や器の模様に注目した授業など、今回は4つのタイプの事前授業が行われます。今日の上北沢小学校で行った授業は、自分たちのお気に入りのものを教室に展示して、みんなで友達のお気に入りを鑑賞する1日限りの展覧会を開く授業でした。青山二郎は骨董がお気に入りでしたが、4年生の児童のお気に入りとはいったいどんなものだと思いますか?


名陶「白袴」


オーストラリアの西南端に、バンバリーという街があります。

6月13日、そこの市長ご一行が、世田谷美術館を訪問されました。皆さん「青山二郎の眼」展をご覧になって、中国・朝鮮・日本の珍しい骨董品にうっとり。とくに市長夫人は、もともとオーストラリアの文化振興で活躍している大の美術ファンとあって、白磁丸壺「白袴」(大阪市立東洋陶磁美術館蔵)のまえに釘付けでした。青山が「人の一生に一度出会うかどうかの逸品」と激賞した、ふくよかで、まろやかな名陶をながめた後、ふと一言、こうおっしゃいました。

「この壺がつくられたとき、私たちのオーストラリアはまだ出来ていなかったわ」


目もお腹も満腹です


先日8日に、世田谷美術館友の会第36回美術館めぐり(日帰り)にバス2台約75人の皆さんで、爽やかな初夏の風の伊豆高原へ出掛けてきました。

お天気にも恵まれて、池田20世紀美術館、伊豆一碧湖美術館、ブライアン・ワイルドスミス美術館を見学してきました。

伊豆一碧湖けやき通りに彫刻家井上武吉氏の設計で建てられた、池田20世紀美術館。20世紀に制作された絵画・彫刻で「人間」をテーマにするものを中心に約1300点収蔵されています。

ジャン・ピエール・カシニョールの絵画が常設展示されていた、伊豆一碧湖美術館。湖を眺めながらのソフトクリームは格別でした。

ブライアン・ワイルドスミス美術館ではマザーグースの挿絵で知られるブライアン・ワイルドスミス氏の原画と絵本に囲まれメルヘンチックな時を過ごしました。

途中昼食では、海の幸に舌づつみ!

目にもお腹にも充実した一日でした。

このツアーにご興味をもたれた方は是非世田谷美術館友の会に入会! 

お問い合わせは03-3416-0607 までお気軽にどうぞ。


兄弟のフシギ


6月8日(金)から「藤本兄弟の仕事-写真家・四八と編集者・韶三」という小展示が始まりました。世田谷区に住んでいた藤本四八と藤本韶三の特集です。皆さん見に来て下さいね、と一応の宣伝をしておいて本題へ。この展示の準備をしていて、兄弟で共に美術の仕事をするというのは、なかなか不思議な事だなと思いました。でも考えてみればベリーニ兄弟、ファン・エイク兄弟、デュシャン兄弟、チャップマン兄弟…などと美術史上では結構そういう例がありますね。


帰ってゆく作品たち


岡本太郎展でお借りした作品を返却する。

国立美術館から画廊、個人のお宅まで、お返しする先はさまざま。

がっちり梱包した作品をお借りした方々の前で開梱し、いっしょにチェックしていただく。


作業室とか応接間とか、展示室ではない場と光のなかで見る作品は違う表情をしている。“モノ”としての脆さを感じさせもする。画面に顔を寄せ、ひび割れや剥離などを確認しながら、改めてその作品が乗り越えてきた長い年月を思う。


「お疲れ様」と思わずつぶやきたくなる、緊張と安堵の入り混じる静かな時間が流れる。


「青山二郎の眼」展いよいよ始まります!


今日は、明日のオープンに先立ち、作品を貸してくださったりなど、お世話になった方々をお招きした内覧会がありました。皆さん、これだけたくさんの骨董の優品が揃うのは、めったにないと大変楽しんでご覧になっていらしてました。


「青山二郎の眼展」ただいま展示作業中


9日から始まる「青山二郎の眼」展に向けて、いよいよ展示作業も佳境に入りました。

今日は、一部の作品が木箱から出され、仮置き後、順次本展示へと作業が進みます。


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