Ars cum natura ad salutem conspirat

つくり手を撮る


7月3日(土)、宮本三郎記念美術館で開催中の「ドキュメント 素描する宮本三郎 1950’s写真家・中村立行による」に関連して、40年以上にわたり第一線で活躍している写真家・齋藤康一さんをお迎えして講演会「つくり手を撮る」が行われました。齋藤さんは、今回展示している宮本の制作風景を撮影した中村立行ともお知り合いでいらっしゃいます。当日は、中村とのエピソードから、齋藤さんがこれまで撮影された三島由紀夫、棟方志功、東山魁夷、岡本太郎、平山郁夫、中川一政、佐藤忠良ら、つくり手の写真についてのお話が、スライドも交えて披露されました。

今回、展示室には宮本だけではなく、中村立行撮影による林武、三岸節子、猪熊弦一郎らの制作風景の写真も合わせて展示していますが、斎藤さんから見た中村のイメージは、『婦人画報』などファッション関係の仕事であり、これほど画家の撮影をしているとは知らなかったと驚かれていました。


齋藤さんも『昭和の肖像』という写真集があるように、肖像写真で広く知られています。いわゆる三島事件の1週間ほど前に三島由紀夫の取材撮影を終え、本人から「もう1週間撮ればいいのに」と言われたこと、岡本太郎は撮影しようとするとカメラをいつも睨んでいること、加山又造は制作しているところは決して撮らせないことなど…。いずれも現場で作家と向き合う写真家ならではの生々しく、非常に興味深いエピソードばかりで、お話の最中には驚きの声があがる場面も度々ありました。


今回の講演会は、昨年度展覧会に際して行われ、好評を博したレクチャーシリーズ「作り手から見た宮本三郎」を引き継いでいます。次の企画はまだ決まっていませんが、決まり次第、宮本三郎記念美術館のHPなどでお知らせしますので、こちらもチェックしてみてください。


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