Ars cum natura ad salutem conspirat

史男のプレス機で刷ることができる、版画のワークショップ開催中


開催中の展覧会「難波田史男の世界―イメージの冒険」展に関連し、参加費100円で気軽に楽しめるワークショップを会期中の毎週土曜日に開催しています。今回は、100円ワークショップ「トライ!ドライポイント」の様子をお届けします。


難波田史男は画家としての短いキャリアの間に、2,000点以上の作品を残した作家でしたが、水彩や素描、油彩だけでなく版画作品も制作しています。本展の出品作品にも版画作品が含まれていることもあり、今回、気軽に版画制作を体験できる機会をご来館者のみなさまにご用意しています。

驚きなのが、100円の参加費でドライポイント(銅版画の技法の一種)の手法を体験できるというだけでなく、版画を刷るときに使用するプレス機が、難波田史男・作家ご本人のものであるということ。当館が収蔵する難波田史男の作品は、ご遺族の難波田家からご寄贈いただいた作品を核としていますが、作品のみならず版画の原版とプレス機もご恵贈にあずかったものです。


企画展の展示室には、全36点の銅版画と作品の原版が展示されています。繊細で自由な線描の魅力、そして有機的でどこかユーモラスな登場人物たちが織りなす不思議な物語が版画作品の中でも展開されていて、史男らしさが感じられる作品群となっています。原版からは史男の制作の息づかいが感じられ、また、版と刷られた作品を見比べてみるのも鑑賞の楽しみの1つです。


さて、会場の地下創作室では、参加者のみなさんが思い思いの絵を厚紙(銅板の代用品)にニードル(先端の鋭い道具)でひっかいて描画していました。

次に、この作業が終わったら、でき上がった版にインクを刷り込んでいきます。仕上がりを想定して、綿棒を使って細かい部分のインクを拭き取ったり、わざとムラを作ったり・・・工夫の仕方が沢山ありそうです。(写真1枚目)

そして次はいよいよ、史男のプレス機を使う工程です。作った版を置き、その上に紙をセットし(写真2枚目)、レバーをグルグルと何度も回していきます。(写真3枚目)

すると、紙が版にしっかりと押し付けられ、反転した像が紙にちゃんと写っていました。(写真4枚目)


ちなみにこの日は本展の担当者もワークショップに参加し、史男のプレス機での制作を楽しんでいました。完成した作品は写真の5枚目です。


史男のプレス機を活用し、参加者のみなさんによって素晴らしい作品が次々と生み出されているこのワークショップ、史男さんもいまごろ天国で喜んでくれていると良いのですが。


1月24日(土)、31日(土)、2月7日(土)の13:00~15:00、このワークショップは開催中です(時間内は随時受付)。みなさんのご参加を心よりお待ちしています。


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