Ars cum natura ad salutem conspirat

アメひとつでも・・・


美術館には多くのお約束がありますが、ほとんどは「美術品を守る」ためのものです。触ってはダメ、とかペットや生花や大きな荷物は持ち込めない、など。その中でも飲食厳禁というのは定番のルールだと思うのですが、アメ・ガムは盲点で、これが知られていない。しかし、注意されてせっかくの気分が台無しになったという話しはよく聞くし、わたしもそういう経験があります。悪気のない方にご注意するのは本当に心苦しいし、難しいです。

どこかのブログで(別の美術館でしたが)アメを食べていて注意を受けた方が「美術はそんなに高尚で偉いものなのか!」と憤慨していた話を読みました。そうではないのです。美術品は「偉い」わけではなくて、「弱い」のです。

たとえば、ルーヴル美術館に行けば、わたしたちは約500年前の作品である「モナリザ」を見ることができます。それって、500年もの間、作品を取り巻く全ての人が、ずっと大切に、大切にしてきたからですよね。すごいことだと思います。

アメひとつでも、美術品を損なう可能性があるのは本当です。美術品かお客様の気持ちか?美術館にはどちらも大切なのです。何卒、ご理解とご協力、ご容赦をいただけると嬉しいです。


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