Ars cum natura ad salutem conspirat

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美術館の過ごし方~カフェ編


爽やかな初夏の風が心地よい今日この頃。

職員S子は、世田谷美術館に新しくできたカフェにお邪魔してみました。


ミュージアムショップの前にある、薄暗いらせん階段を下りると、黄色い光の中に座り心地のよさそうなイスと、滑らかな木製のテーブルが並んでいるのが見えてきます。その奥にあるカウンターからカフェの店員さんたちが温かい笑顔で迎えてくれました。世田谷美術館の1階エントランスは、天井も高く、空間も広く、その上、重厚感のある大理石でできています。美術館という施設が、日常からかけ離れた空間を積極的に演出しているのは当然ですが、そのようなところでもほっと緊張感がほぐれる場所があると嬉しいですよね。

このカフェでは、ブルターニュ地方で食べられている、そば粉のクレープ「ガレット」が食べられます。店員さんからのおすすめは、サーモンのガレット「ノルディック」(850円)だそうです。そのガレットと紅茶(350円)を注文し、番号札をもらって、外のパティオ(テラス)にでました。パティオには、白いパラソルの花が咲き、その下にテーブルとイスが置かれています。


その中の1つのイスに腰掛けると、壁面の滝から涼やかな音が聞こえてきます。これは、関根伸夫の《水彫れの滝》という作品でこの美術館が設計された時に建築家・内井昭蔵の希望で、建物に組み込まれて設置されました。暑い日には、水が落ちる音と飛沫がとても気持ち良いです。


視野にもう一つ大きなオブジェが入ってきます。1996年に開催されたリチャード・ロングの展覧会「山行水行」より世田谷美術館に収蔵された《夢石の円》という作品が地面に置かれています。これは、埼玉県の長瀞でとれる青鉄片という石を円盤の形に加工した庭石をロングの発案で立てて円状に並べた作品です。それぞれが隣り合う石に支えられています。一つが持たれ、もう一つが支え、支えた石が今度は支えられる立場になる。部分が全体となり、全体が部分となる、自然の摂理と雄大さを感じることができます。


2つの作品を眺めていると、店員さんがガレットを持ってきてくれました。まだ、オープンして一か月ちょっと、人気に対してスタッフの対応がまだまだ追いつかず、待ち時間を要してしまうこともあります。そういう時は、温かいお気持ちで、眼前のオブジェを観てお過ごしください。

(画像は、ノルディック: スモークサーモン, ポテト 850円)


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